コインランドリー経営における「選ばれる力」と浸透率向上の決定打とは?

コインランドリー経営における「選ばれる力」と浸透率向上の決定打とは?

「新しい店舗を出したのに、なかなかお客様が定着しない」「一度使ってもらったけれどリピートされない」。

そんな悩みを抱えているコインランドリー経営者は少なくありません。

立地、設備、価格——すべてが揃っていても、「なぜか選ばれない」。その理由の多くは、「選ばれる力」が弱いからです。

このコラムでは、ターゲットを明確に設定し、「この店に通いたい」「ここで洗いたい」と思ってもらう“選ばれる力”を高めるための戦略を深掘りし、どのように浸透率と来店頻度を向上させていくかを実践的に考えていきます。

【1. ターゲットは“共働き家庭の主婦・主夫”】
多様な顧客が訪れるコインランドリーですが、「浸透率」を高めて「購入頻度(=来店頻度)」を上げたいなら、ターゲットはある程度絞る必要があります。

狭すぎず広すぎないバランスを取る中で、最も日常利用の可能性が高く、生活上の課題を抱えており、かつ決済権を持っている層。

——それが「共働き家庭の主婦・主夫」です。

彼らは毎日の生活で“時間が足りない”という慢性的な悩みを抱えています。洗濯という家事の中でも「乾かない」「干す時間がない」「大量にたまってつらい」などのストレスを感じており、コインランドリーはその問題を一気に解決できるサービスです。

また、家事の効率化、育児との両立、清潔志向といった時代的背景の中で、彼らが持つ“価値観”と“課題”にいかに応えるかが、「選ばれる力」を育てる鍵になります。

【2. 「選ばれる力」は必然性の中にある】
「なんとなく便利そう」「近くにあったから」という理由だけでは、浸透しません。

共働き家庭の主婦・主夫が「この店を使いたい」と感じるのは、そこに“生活課題の解決”が明確に提示されているときです。

たとえば、
・保育園で毎日使う大量のタオル類がすぐ乾く
・花粉症の子どものために外干し不要
・週末まとめ洗いで平日がラクになる
こうした「自分の暮らしがラクになる、変わる」イメージが描けたとき、人はサービスに必然性を感じ、選び続けます。

つまり、「選ばれる力」とは、暮らしの中に入り込む“理由”をどれだけ具体的に提示できるかにかかっているのです。

【3. 「選ばれ続ける理由」を届ける仕組み】
一度利用されたとしても、二度目につながらないケースは多くあります。

この「離脱」を防ぐには、初回利用時の“感動体験”だけでなく、定期的にその店を思い出してもらい、「また使いたい」と思える“文脈”を設計しておく必要があります。

以下は具体的な施策例です:

● コミュニケーションボード
「今日の一言」や「洗濯豆知識」など、生活に寄り添う情報で、ちょっとした楽しみとつながりを演出。

● ビジュアルで伝える使い方・活用例
子ども服や毛布、ユニフォームのまとめ洗いなど、写真やイラストで分かりやすく提示。

● 洗剤や柔軟剤の「肌へのやさしさ」訴求
肌トラブルが気になる家庭には、「肌を想う洗剤」の使用や「すすぎ重視」のコースが強みになります。

● LINE公式アカウントでの定期発信
使い方の再提案、天気連動メッセージ、家事の小ネタなど、“暮らしに役立つ店”として存在感を高める。

● 店舗設計や導線の工夫
洗濯中にスマホを充電できる、カフェスペースがある、待ち時間が子どもと楽しめるなど、店舗空間そのものの価値を高める。

【4. 文脈を設計する——“便利”の先にあるストーリー】
単なる便利さだけでは、「また来たい」とは思われません。

たとえば「洗濯が早く終わる」という利点も、
→「家族との時間が増える」
→「保育園準備が朝ラクになる」
→「夜でも安心して洗えるから、夫婦でゆっくりご飯が食べられる」
といった「使うことで得られる生活の変化」を言語化・可視化することで、サービスの印象は大きく変わります。

「生活改善の物語」を伝えること——これが、選ばれ続ける店舗の共通点です。

【5. 地域密着と“人”の存在感】
無人店舗であっても、「人の気配」がある店は安心感が違います。

・手書きのメッセージ
・応援したくなる運営姿勢
・小さな工夫に“思いやり”を感じる仕掛け

こうした要素の積み重ねが「お気に入りの場所」になり、競合との差別化になります。

さらに、「この店は○○さんがやってる店」と思い出してもらえるようなパーソナルなつながりや、地元のイベントへの協力、子どもへのちょっとしたギフトなど、“温度”のある関係性が、「通い続けたくなる理由」になります。

【6. データでわかる「選ばれる力」】
Googleマップのクチコミや、SNSでの言及には、お客様の“選んだ理由”が自然に現れています。

「乾きが早くて助かった」「スタッフのメッセージが嬉しかった」「洗剤の香りが好き」——
こうした“キラーワード”を蓄積・分析することで、店舗が持つ「強み」が明確になります。

定量データでは見えない、“感情の声”を拾い上げて、言語化し、さらにそれを磨く。
これが、選ばれる力の育て方です。

【まとめ】
選ばれる力を高め、浸透率を上げ、来店頻度を増やすには、以下の3つがカギです:

1. ターゲットは「共働き家庭の主婦・主夫」
2. 利用の“必然性”を具体的に提示する
3. 続けたくなる文脈と関係性を設計する

価格や設備だけではもう選ばれない時代。
“暮らしを支える存在”として位置づけられたとき、コインランドリーは単なる設備ではなく、「通いたくなる場所」へと変わります。

そしてその先には、ファンを増やし、地域に根付き、永続する経営のヒントがきっとあります。

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